大人になると泣くことが減った。というか、ほぼ泣かない。
最後に涙を流したのは、いったいいつだろうか。『ゴジラ-1.0』を観た時か。
結構最近だった。
涙、といえば酒飲みにファンの多い「ナミダ巻き」と言う巻き寿司がある。
細巻きにワサビ等を巻いたもので(うちではきゅうりと大葉も一緒に巻く)噛み締めた瞬間の、突き抜けるハードで鋭角的な刺激に涙を浮かべながら、どういうわけか次々と手が伸びてしまうというシロモノだ。
俺が思うに、大人は、社会の荒波に揉まれながら、いつしか泣き方を忘れてしまう。
だからこうして、時々ナミダ巻きを頬張って、「これは、これはワサビのせい」と言い訳しながら、泣き笑いするのかもしれない。

「大人になるって悲しいことなの」
かつてスーパーファミコン用ソフト『バハムートラグーン』のヒロイン、ヨヨはそう言った。
ゲーム史に残るとんでもないア○ズレで有名なキャラで、簡単に説明すると主人公の恋人なのだが、敵に捕まっている間にその敵とデキちゃって、主人公と「いつか結婚しようね」と約束していた教会で「大人になるってどうのこうの」とか言って、別の男と愛を誓い合っている姿を見せつけ、しかもその後彼女と、その新恋人である男は主人公の仲間として旅に同行、2人の部屋からはなんだかいやらしい声が聞こえてくるという、いらんオマケ付きだ。
いいかげんにしろ。
ヒロインの名前を好きな女の子の名前に設定していたウブな青少年の多くを、トラウマのどん底に突き落としたトンデモない迷作である。

そういえばナミダ巻きの鼻奥がツンとする独特の痛みは、思春期、恋を失った時の感覚とどこか似ている。
大人になるって、悲しいことなの。
今ならその言葉の意味が、少しわかる。











