うだるような夏だろうと、しょぼしょぼと雨が降り止まない梅雨だろうと、薄暗くて気が滅入る冬だろうと。
俺たちの人生をまるで爽やかなスプレーアートのように切り取ってくれる、そんなビールがある。

バドワイザー。通称・BUDである。
いついかなる時もこのビールがそばにいるだけで、日常の何気ないひとコマも、ドラマチックな清涼感に満たされてしまう。
飲み口はスッキリと滑らかで、喉を鳴らしてゴクゴクと飲んでも引っかかることがない。
全身をめぐり、そして汗となってあっという間に吹き出していく感じがする。
いつまでも滞留せず、気がつけばどこかへと去ってしまう。まるで初夏の海風だ。
そして今の俺のように、人をやたらとキザでポエティックにしてしまう、そういうビールでもある。

映画『トップガン』でトム・クルーズたちが飲んでいることで有名だが、邦画だと『六本木バナナ・ボーイズ』でも若かりし日の仲村トオルがBUDを飲んでいる。
どちらも大好きな映画だし、大好きな俳優だ。
いくら俺が真似をしたところでトム・クルーズや仲村トオルのような長い手足は生えてこないが、それでもBUDを飲んでいる間、俺はトムやトオルにも負けないくらいクールで、憂いを含んだ顔をしている…ということになっているのだ。
プルトップを開けた瞬間、初夏の爽やかな風を運んで来るこのビールは、当サイト『フィッシュストーリー』の代名詞と、俺が勝手に決めている。
どんなに寒い季節でも、天気が悪い日でも、人生最悪の日でも、読めば少しだけ、ドラマチックな夏の日に立ち帰れるような、そういう文章を書いていこうと善処しております。

人はみんな、己の人生という映画の主演俳優なのである。
主役は、トムでもトオルでもない。戦闘機に乗ってクルクル回る必要はない。
代わりに編集部の冷蔵庫には、いつだって赤いラベルのBUDが冷えているのだ。
BUDの似合うような人生劇場なら、とりあえずそんなに悪くないはずでしょ?
ちなみにBUDという略し方は俺の敬愛する作家・喜多嶋隆(『六本木バナナ・ボーイズ』原作者)が作中でよくそう表記することへの、オマージュである。











